「若那屋内白露」鳥高斎栄昌 江戸時代18c
金魚玉
今は無き江戸時代の風流アイテム「金魚玉」。
江戸時代、江戸の町では金魚が大ブーム。
天秤棒を担いだ金魚売りが金魚を売り歩いていました。
金魚売りから買った金魚はガラス製の「金魚玉」に入れて、家に持ち帰ったそうです。
ビニール袋で持って帰るより、なんとも趣がありますね。
そして、風鈴と同じような感覚で軒に吊るしたり、
棚などの上に置いて金魚を間近で見て楽しみました。
そんな江戸の当たり前の風景が、残念ながら今では見ることができません。
金魚を持って帰るにはビニール袋の方が、安くて便利だったのでしょう。
しかし、日本の風情のある風景が1つなくなってしまったのは、とても残念に思います。
鼠屋ちゅう吉の「金魚玉」を透して、
忘れられた江戸の風景を再び感じることができれば嬉しい限りです。
使い方さまざま金魚玉
竹棒でつっぱり、紐で吊るすというユニークな形の金魚玉。
使い方次第で、さまざまな演出をすることができます。
ちなみに金魚玉は一時的な容器ですので、この中で金魚を飼育することは難しいです。
花器として
花や植物を入れて吊るせば、風流な演出ができます。
小さなアクアリウムとして
水草、砂利を入れれば、水草鑑賞を楽しむことができます。
板置きとして
底がフラットになっているので、置いて楽しむこともできます。
いくつか並べると雰囲気が増します。
ガラスについて
金魚玉は、小江戸川越のガラス作家さんによって、
1つ1つ手吹きによってつくられています。
よって1つ1つ微妙に形や厚みなどに違いがあり、
それがまた味わい深いものとなっています。
「金魚玉 つぼみ」は口部分がキュッとつぼんでいて、
まるで小さな金魚鉢のような趣です。
鮮やかな黄緑色から「萌黄」と名付けました。